誘拐犯は…神様だったのです!
「お兄様、自分ばかりお姉様を独り占めしようだなんてずるい!」
「…え?」
「ねぇ、お姉様!お兄様なんていいから僕とお散歩しよう?」
「…お散歩?」
いいけど、でも…ここは海鈴さんの世界だし…勝手に歩くのは良くないよね
チラりと紫音さんを見れば、彼は頭を抱えため息をはき私達をみる
「まぁ、散歩くらいならいいよ。ただ、あまり遠くにはいかないように」
「うん、任せてお兄様!いこう!お姉様!」
「え?あ、うん…でも…本当にいいんですか?」
「いいよ。息抜きをしておいで」
「…海鈴さん…」
ありがとう………
「じゃあ、行こうか」
「うん!」
大きく頷きグレンくんは私の手を引いていき、そんな姿を海鈴さんは見えなくなるまで眺めていたのだった――…
――――――…
―――…
「グレンくん…大丈夫?痛くない?」
「グスッ…うっ…ん」
海鈴さんの世界、深界に来てから約7日が経過した頃
私はある部屋でグレンくんの手当てをしていた
あれから、私は海鈴さんにお世話になり平和に時間を過ごしていた
そして、毎日のようにグレンくんと出掛け散歩している中
今日に限り、走ったグレンくんが転んでしまい腕に傷をおおったのだ
・