誘拐犯は…神様だったのです!





「………」


グレンくんってば、大好きだって…その言葉は素直に嬉しいな



可愛いらしい寝顔で眠るグレンくんの身体を数回なで、それを見ながら私は外を眺める


「………あ」


外はいつのまにか太陽が沈み、外は暗くなりはじめてる


怪我の手当てとかに気を取られて、気付かなかったな…




「………」



てか、こう考えると、もう一週間が過ぎようとしてる


紫音さんは…相変わらず来てくれる気配はない


それどころか、フウさんもトールさんもツヴァイさんもお母様も


音沙汰が全くなく…最近、またさみしい気持ちになることがよくある



私がいなくなっても、良かったんだ…とか


やっぱり、紫音さんとは終わりなのかもしれないとかマイナスなことばかり


信じると決めても、こう考えてしまうのは本当は信じてないからなのかな



「…………はぁ」



日中はグレンくんがいて、たまに海鈴さんが私を誘いお茶をしてくれる


だから、そんなことはあまり考えないけど



一人になると、ダメだな…



「…紫音さん…」


会いたいな…紫音さんに…



一人の夜は寂し過ぎる。


紫音さんのぬくもりが私は忘れられない


暖かくて、懐かしくて、いい香りがするの…



「………って」


全く…考えちゃダメ!また泣きたくなっちゃう


海鈴さんに心配はかけたくないんだ



そう、溢れそうだった涙を拭い私は数回だけグレンくんの頭をなで、部屋を出た





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