誘拐犯は…神様だったのです!





「それより、沙優…そんな身体で一人で出歩くなっていつも言っているだろう」


「え?…あ、だ、だって」

「言い訳をするな。全く、世話が焼ける」


「うっ…ごめんな、さい…扇李」


「……」


扇李?沙優?


やっぱり、聞いたことがある名前だ…確か、この名前は…


「…………!」

あ!そうだ…夜会の時は会えなかったけれど、地天界の王だ


特徴的な赤い髪の毛…そうか、やっぱりあの用紙に書いてあった通り


まさか…こんな所で会うだなんて…


ん?でも、どうして私が紫音さんの花嫁ってわかったんだろう



そんな疑問を浮かべ二人を見ていると、沙優さんは扇李様の腕を握り見上げる



「えーと…ご、ごめんね。もうしないから」

「それ、何回目だと思ってる」


「え?んー…と…8回くらい?」


「………」

「う、嘘です…ごめんなさい」


キッと扇李様が睨むと無言の圧力だろう


素直に沙優さんたちの姿に思わず笑顔になる


仲がいいな……なんて言うか、お互いを理解して思いあってる気がする


その証拠に、沙優さんの肩にある扇李様の手が雰囲気は怒ってるのに大切な物を包むような暖かさを感じる



うらやましいな…私と紫音さんとは大違い


すれ違いばかりの私達とは違う



思わず、彼女達の姿に姿勢を落とすと沙優さんは視線を私に移す



「ん?…あの、やっぱりさっきぶつかったせいで、気分でも悪いですか?」


「…え?」


「なんか、そんな感じがして…ね?扇李」


う、うそ…そんな風に見えちゃたかな



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