誘拐犯は…神様だったのです!





―――――――…
―――――…




「えっ…と…これは、空界の服で…こっちが深界の服…と」




一時間後、海鈴さんに思いをぶつけた私は部屋で一人、荷造りをしていた



10日前、海鈴さんに誘拐されてその時に来ていた空界の服


そして、10日間の間に海鈴さんが用意してくれた深界の服やわざわざ人間界から買って来てくれた服を丁寧にたたんでいた




はぁっ…海鈴さんに思いを伝え随分とスッキリしてるけれど



こうやって、帰る準備をしていると…なんか寂しい気持ちになるな


なんて言うか、旅行帰りの電車の中の気分



本当に、この約2ヶ月間…珍しい体験ばかりだったもんな



普通に、ただ普通に毎日を過ごしていたら絶対に体験出来ないことばかりで…思い返せば楽しかった



「………」



人生何が起こるかわからない、まさに…この言葉があってる



そんなことを考え、服をたたみ近くのテーブルにおき、海鈴さんのお付きの方が用意してくれた鞄に人間界の服をつめる



この服は私にくれるらしい。深界では人間界の服は奇妙なものだからいらないと、これもまたお付きの方に言われたから




フリフリの服からナチュラルな服、セクシー系もあればシックやビビット



よくこれだけ用意出来たのが不思議だけれど


とにかく、海鈴さんには沢山よくしてもらった



「あ…そうだ」


人間界に戻ったら、なにかあげよう



さっき、暫くはいてくれるって言ってたから


お礼の気持ちをこめて……あ、でも……



「海鈴さんって、何が好きなんだろうな」



付き合いは長いけど、いったい海鈴さんは何が好きなのかな?



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