誘拐犯は…神様だったのです!





確か、甘いものは好きだよね。よく海鈴さんと甘い物を食べにいったし



でも、食べ物はな…何か形に残るものがいいな



「………あ」



そうだ、海鈴さんと人間界に帰ったら引っ張って何か買おう



「うん」


それがいい。



そう、強く意気込むと…


コン、コン――…


「………ん?」


突然、窓を叩く音が響き何気なく窓をみると…



「…………あ」



バサッ――…



そこには、大きな翼を羽ばたかせるハヤブサ


そしてその周りには小さな小鳥達


あの子達―…


覚えてるよ、パルシュで出会った小鳥達


うそ、あの日から姿が見えなくずっと会いたかった


元気にしてると聞いていたけれど、いざ本物を目の前にして



嬉しさからか、私は急いで小鳥達に駆け寄り窓を開けるとフワッと優しい風が吹くと―…





「いた…この、脱走魔が」


「………え……?」


聞き覚えのある声が聞こえる、あれ…この声って…まさか…








「……トールさん?」


トールさんの声だ、絶対に。


あれ…でも、トールさん…どこに?


周りを見渡しても彼の姿はない。まさか…空耳?いや、でも…確かに聞こえた



「…………」


……なんて、やっぱり気のせいか…



「まさか、あのトールさんが来るわけがないよね…」


うん、ない。だって今までだって来なかったんだもん


だめ、だめ。いない人を思い浮かべるなんて



ブンブンと首をふり、トールさんの声を忘れようと頬をバチッと鈍い音をたてながら叩くと…




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