誘拐犯は…神様だったのです!




「お、おい!こっち、こっちだよ!」


「…え?」


肩をトントンと叩かれ、そのまま促されるように背中の方を振り向くと…

「………あ」


そこには、トールさんとフウさんが腕を組ながら仁王立ちをして立っていた


「な…きゃ…んんっ!」

「ば、馬鹿!声を出すな!バレるだろう!」


反射的に口から出ようとした悲鳴をトールさんが塞ぐ


「やっと、この世界の警備を抜けて来たんだ…とにかく落ち着いてくれ」


「……っ」

「いいな?」


「ん…っ」

首を縦に振るとトールさんは手を離しハヤブサ達を肩にのせ窓をしめる


「なら、いいんだ…はぁっ…しかし、バレてないよな?海鈴様は色々な意味で油断ならないんだ。不法侵入したらどうなることやら」



カーテンをしめ、やたら周りを警戒するトールさん、そしてそんな彼とは違い表情を変えないフウさん



「あ、あの…トールさん?なんで…そんなに警戒してるんですか?」


まぁ、勝手に部屋に入ってきたことからすると


海鈴さんに黙ってなんだけど、なにやら怯えてる様子に声をかけるとピクッと肩が揺れる



「あ、いや…とくに理由はねぇけど…あまり来たことはバレたくねぇんだ」


「え…は、はぁ」


「よし…バレてないみたいだな。お前らも誰もいないか見張ってくれたおかげだ」



小鳥達を数回触りトールさんは、ゴホンと咳払いをしながら私をみる



「あーと…なんだ、まぁ、突然だが…お久しぶりで、凜様」


「…………」


「思った以上に元気そうでなにより」


「…は…はぁ?…お久しぶりです。トールさん」


いきなり、話をかえられなんかひっかかるものトールさんに笑いかけると彼はいきなり少し切なそうに顔を歪める



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