誘拐犯は…神様だったのです!





「えっと、その、長い間…凜様を放置をしてしまい申し訳なかったです」


「………」


「体調とか、悪い所は?」

「あ…はは。大丈夫ですよ」


「そうか。あぁー…それで…紫音様の」


「あ、あの!」


「……はい?」



紫音様の…って、きっと何かを言うつもりなんだろう


だから、聞きたくない。そんな思いで言葉を遮る


「えっと、その…あ!お、お母様はお元気ですか?」


「え?えぇ…相変わらず元気にしてる。凜様のことも心配してるしな」


「あ、そうですか」



そうだよね。紫音さんとぎくしゅくしたの相談したし…


お母様のことだから、紫音さんを怒ってるかもしれない


お母様にも、あとで海鈴さんに頼んで手紙でも渡そう


「はい。それで、凜様、紫音様のことだが」


「あ!」

「…!?」


「そうだ!つ、ツヴァイさんはどうですか?」


「ツヴァイさん?ツヴァイも元気にしてる。ただ、モノ様同様…心配はしてるが」


「あ…はは」



ツヴァイさんもね。そうだよね、ツヴァイさんは本当に全部を知ってるんだもん


だから、誰よりも私を心配してくれてるだろう。優しいし…



「そうですか」


「はい、それで、ですね。紫音様と」


「あ、そうだ!」

「……!?」


「わたし、この後に海鈴さんとお茶の約束をしてたんでした」



って、そんな約束はしてないけれど…


トールさんの話は聞きたくない。せっかく久しぶりに会えたけど…聞きたくないんだ

もう、紫音さんのことは話したくない


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