誘拐犯は…神様だったのです!
震えて、海鈴さん以外に言うのは怖い。でも伝えたい
手を握り、二人を数秒間みつめ私は口を開く
「…私…この10日間…紫音さんが迎えに来てくれることを信じてまってました」
「「………」」
「紫音さんに拒否されてから、私は精一杯ぶつかって向き合った。だから、後は私の好きな紫音さんを待つだけだって思ったんです」
「…………」
毎日、苦しかったよ。紫音さんのことを考えない日はなかった
一人で眠ることが寂しいって改めて実感した。おばあちゃんが亡くなって一人になったときより
辛くて、苦しくて、満足に眠れたことなんてない
だって、目を閉じれば…紫音さんの感触や香り、ぬくもりや優しい声
全部、全部を思いだすから
でも、でもね…
「待ち続けて、10日…紫音さんはもう来ないって、わかった。離れる覚悟をしたの。怖かった。覚悟をするの…紫音さんが来ないって、私なんて…どうでもいいんだって、覚悟をするのが怖かったの」
「……凜様」
「……………」
「それで悩んでいくうちに、私は覚悟をした。人間界に戻る覚悟を。紫音さんとのことは長い夢だったんだって思うことにしたんです」
「………」
「そしたら、胸は苦しいけど…気持ちがスッキリしました」
「「………」」
「私は、紫音さんに言われた通り、もう大人しく人間界に帰ります。そう、決めました」
僅かにぼやける視界を手で拭い、泣いちゃだめ
そう胸に刻み、大きく息をすう
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