誘拐犯は…神様だったのです!
「だから…私は…戻れません…っ」
「「……」」
「ごめんな、さい」
頭をさげ、二人に謝るとフウさんは唇を噛みしめる
「凜様」
「………っ」
「そんな言葉は、私は聞きたくない」
「ちょ、オーディン?」
「凜様、どうして諦めるんですか?強引にでも、紫音様が向き合うまで攻め続ければいいのでは?」
「…フウさん…」
「今まで、そうだったではないですか。夢だったと思う?どうして、そうなるんだ…私は…そんな凜様を…花嫁として認めたわけじゃない」
「………」
フウさんが怒りを含んだ顔
それは、以前…パルシュで一回だけみせた表情と同じ
うん、フウさんの言葉は正しい。向き合うまで、しつこく…攻めればいい
考えたよ…でも、でもね…
「…もう…辛い思いをするのが…辛いんです…」
「………」
「それに、疲れちゃったんです。お母さんとの別れ、おばちゃんの死…紫音さんのこと…辛い思いをしました」
「……」
「中でも、一番は心を奪われた紫音さんのことですよ。そして、紫音さんも自分の過去と私のことで苦しんでる」
「「………」」
「私が紫音さんを攻めたら、紫音さんはもっと苦しむ、そうなるなら…私は身を引こうって」
「…凜様」
「それに、どんなにせめても、紫音さんは頑固ですから…報われないです」
肩をあげ、笑うとフウさんは私から視線をそらしてしまう
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