誘拐犯は…神様だったのです!



きっと、戸惑った私に気を使ってくれたんだ



「ありがとう…」


「ううん、あ!ねぇ、それよりさいつものあそこに行こう」


「いつもの?あぁ、あそこね!うん、行こうか」


あそこ、とは…深界に住んでいる海洋動物が沢山いる場所のこと



グレンくんはそこが大好きで、毎日のように一緒に行くんだ


「やったぁ!お姉様!早く」


小さな手で私の手を握り引っ張る


「ま、まって…行くから」



グレンくん、こうゆう時は力が強いんだからっ



そう思い、立ち上がりグレンくんと歩き出そうとすると――…




「…………っ」


グラッ――…


「…あ」


「………?」


一瞬、変な感覚が私を襲いいきなり視界がふらつく


「…ん?どうかしたの?お姉様…」


「あ…ぅ、ん…あれ…っ」



あっ、だめ…


奇妙な感覚が身体を駆け巡り、同時に激しい目眩に思わず崩れ落ちると


グレンくんは私に近寄り背中に手をおく


「お、お姉様?どうしたの?お顔…すっごく真っ青…だよ?」


「……あ」


心配そうに顔を覗きこまれ、青い瞳には私がうつる


真っ青?うそ…わたし、どうしたんだろう…


なんか、だんだんと身体も重く…気持ちが悪くなってきた


「お姉様?…お姉様!」



だめだ…グレンくんの声がだんだんと遠くなってくる



なんで、いきなり……こんなこと……


味わったことのない感覚に私はそのまま、その場所に倒れこんでしまった――――……














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