誘拐犯は…神様だったのです!




紫音さん……


どうして、抱き締めたりするの…?


「…い…やっ」


「………」


「いやだ…っ」

「……」

「離して下さいっ」


彼から離れようと暴れても、逆に強く抱きしめられてしまい、全く身動きが取れなく


その度に密着する身体が私の胸を締め付ける



やだ…よ。やだっ…



「い、やだ……っ」

「凜」


「い…や…だ。…やだ、やだやだやだ…離して下さい!」


「凜…っ」


「嫌だ…離して、いやっ…や…だっ…うっ…」



暴れても、暴れても、暴れても…暴れる分だけ私を強く抱き締める紫音さん


なん、で………


「やっ…だ…グスッ…う…ぅぁ…っ」


ダメだ…わたしっ



何がが切れたように、私の瞳からは次々と大粒の涙が流れ、両手で顔を被う


「うっ…あっ…ひっ…く…グスッ…」


「…凜…」


涙が、止まらないよ…


10日間、溜めに溜めた涙は止まることを知らない、小さい頃に戻ったように流れ落ちる涙


「う…っ…グスッ…っ」


「…凜…私は…」


「聞きたく、ありません…っ…グスッ」


「……」


「離して!もう、私の…ことっ…放っといて…っ」


「………」


「お願…いっ…紫音さん…ひっ…く…グスッ」


「………」


「お願い…だからっ…もう…「そんなの…放っとけるわけないだろう!」」


ギュウ――…


「…ひ…ゃ…っ」


勢いよく身体が回転したかと思うと今度は正面から力強く抱かれ、さっき以上に紫音さんを身体で感じてしまう…





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