誘拐犯は…神様だったのです!
「……あ」
温かい胸とか、よりいっそう強くなる香りと暖かさ
ドクン、ドクンとリズミカルに聞こえる心臓の音
こんな風に…強く抱き締められたら…紫音さんのこと…夢だと思えなくなっちゃうよ
決めたんだから、私は決めたんだよ…
「紫音さん…離し、て…っ」
「離さない。放っとけないって言ったじゃないか」
「………っ」
「帰ろう…凜」
「……」
「………凜」
「い…や…です…っ…私は、紫音さんとは帰りません!本当に離して下さい!」
「…離さない。帰ると言うまで、離さない」
「な、なんで…なんでですか!!」
「…………」
「なんで、そんなに私を…っ…今更、いまさら…そんなのっ」
「そんなの、凜が一番分かっているんじゃないのか?」
「……え…?」
わたしが、一番分かってる?
「もう、凜だけの身体じゃないんだ」
「………」
私だけの身体じゃない?
なにを言っているの?
私を強く抱き締めながら放たれた言葉は、なにもかも理解できない
意味がわからない……
「何を言って…っ…私だけの身体じゃない?私の身体は私のです!紫音さんには関係ないっ」
胸板をおし、必死に離れようとすると背中に手を回され息が苦しいくらい強く抱かれる
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