誘拐犯は…神様だったのです!
「………あっ」
そっと、優しく…まるで壊れものを扱うかのように…私の頬に手を添え
その長く綺麗な指で涙を拭うと、怒りを含んだ顔がフッと口元が緩み、私を切なそうな瞳で見つめる
「…え…っ…」
「駄目だなんだ。凜」
「だ……め…?」
「そう。そんなの…凜のおばあ様は望んでないんだ」
「…ぇ…?…あっ」
ギュウ――…
肩を引かれ、強く抱き締められるかと思えば…
そこに力強さなんかなく、ただ…優しく私を抱き締め、頭に手をそえる紫音さん
「…………」
今、抵抗すれば逃げれる。なのに、私は抵抗することなんかできない
だって、紫音さん…私のおばあちゃんの望みじゃない…って、言った
意味がわからない。
混乱して、ただ頭を必死に整理するわたしに紫音さんは続ける
「君の…凜のおばあ様は…凜が…ただ、幸せになって欲しいと…そう…子供の私にいつも言っていた」
「…………」
幸せ…に?子供の紫音さんに?
「え…意味が…わから、ない…なんで…なんで、私のおばあちゃんが…子供の紫音さんにそんなことを…」
身体を離し、紫音さんを見つめながら言うと
紫音さんは、数秒間黙りクスリと穏やかに笑い口を開く―…
「君のおばあ様は…私にとっての祖母…空界でアン様と呼ばれた…偉大な神様なんだ」
「……………」
その瞬間、私に…衝撃が駆け抜けた―――…
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