誘拐犯は…神様だったのです!



「そんな落ち込まないで下さい、凜様」


「………」

「紫音様はとてもお優しい方です、屋敷の者も我らの世界の住人もみな彼を慕っているのです」


「………」

「そんな彼の花嫁になれるのは、とても幸せなのですよ」


「幸せなんかじゃ…ない…です」


例え彼が優しくても、そんなの幸せじゃない。なにより、私達の間には愛がない


そんな結婚が幸せなものか…


無意識に不安と言うか、イヤな顔をしていたのかもしれない


さっきまで、余裕な顔でいたツヴァイさんの瞳がわずかに細められる


「幸せですよ…その意味は時期に分かります」


「……え?」

「いえ、なんでもありません」


首を左右にふり、そんな彼を見ながら再び私はため息をはく


「……はぁっ」



もう、私は逃げられないのね…大人しく言うことを聞くしかないのか…


てか、だいたい…


「どうして、私なんですか?」


「…え?」



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