コスモポリタン
3. なんだかムカつく、やたら目につく鼻につく
学園長の指示で陸天野が座ると、さっき純一教授と呼ばれていた黒い短髪の20代後半くらいの先生による説明が始まった。


「みなさん合格おめでとう。
僕は純一川村と言います。」


銀縁めがねの奥の黒い瞳を細めた表情はとても優しげですてきだわ。


肌や目や髪の色は陸天野に似ているけど、雰囲気はなんとなくロベルトに似ているような気がする。


見た目はロベルトみたいに特別目を引く感じではないのだけど、さわやかで親しみやすい雰囲気なのよね。


「交渉術のクラスの担当教諭です。
代表生徒会の顧問もする事になっていますので、どうぞよろしく。」


純一教授の挨拶の合間、アシスタントがロベルトにプリントの束を渡すと、みな一部取っては下座へ回す。


もちろん私もロベルトから受け取った束を陸天野に渡す。


笑顔で目配せしてきたロベルトとは反対に、やはり陸天野はこちらをにらむような目を向けてくる。


かろうじで

「どうも。」

と、受け取りながら唇だけで言ってすぐに下座のエリアの方を向いてしまった。


本当に感じが悪いわね。
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