恋と上司の甘い相関関係
「はい……」


力なく返事をして部長のデスクに向かうと、彼はため息を吐いて頭を掻きながら立ち上がる。



「お前、受け取ったサンプルはどこへやったんだ?」


「──え?」


「『え?』じゃないんだよ。お前が受け取ったんだろう?」



サンプルって、この間言ってた『ル・リアン』に持っていくあのサンプルのこと?


そんなの…あたしは受け取ってない。



「いえ!あたしは……」


「言い訳するな!」


「──っ…!!」



部長の怒号が響いて、あたしはビクッと肩をすくめる。


しん…と静まり返るオフィス内。


その中で自分の心臓の音だけが煩いくらいに聞こえていた。


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