恋と上司の甘い相関関係
「結城さん…!?」


いつの間にかあたしの斜め後ろには彼女が立っていた。



「この広い本社の中を隅々探すっていうの?
自分がどこへやったのかも覚えてないっていうのに?」


「それは……」



あたしは何も言えない悔しさと腑甲斐なさで下唇を噛んだ。


結城さんはそんなあたしを冷ややかな瞳で一瞥すると、部長の方へ向き直る。



「それより部長、私が父に頼んでみます」



その予想外の言葉に、あたしは顔を上げた。



「…ニューメリーにはアレルギーレスの食材は扱ってないんじゃなかったか?」



部長も怪訝そうな表情で結城さんを見つめる。


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