恋と上司の甘い相関関係
「…今はもう本当に気にしちゃいないんだよ、誰に何を言われようとさ」



あたしは俯いたまま耳を傾ける。



「上に立つ人間は陰口たたかれて当然だと思ってるし、いちいち気にしてちゃ重役なんてやってらんねーしな。……でも」


「………?」


「…嬉しかったよ。雅が俺の代わりに反論してくれたこと」



顔を上げると、穏やかな表情の拓海さんが目に入る。



「言い返してくれてスカッとしたよ。今まで俺のために本気で怒ってくれるヤツなんていなかったからな。
そんな変わり者…お前だけだ」



“お前だけ”というフレーズに胸がキュンと締め付けられる。


そして、また込み上げてくるモノがあたしの視界を揺らす。


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