恋と上司の甘い相関関係
避暑地であるこの街は、真夏でも熱帯夜になることはほとんどない。
涼しくて心地いい夜風を肌に受けながら、静かに雅の部屋のドアを閉め郵便受けに鍵を入れた。
携帯を開くと珍しい人物からの着信が一件入っている。
何の用だよ……
気は乗らないが、仕方なく通話ボタンを押す。
『ま〜わざわざ掛け直してくれるなんて、アタシ嫌われてなかったのかしらん?』
ねちっこい女口調で喋るこのふざけた男に、さも面倒臭そうにため息をつく。
「嫌いでも好きでもねーよ。遊馬こそ俺のこと嫌いなんじゃなかったのか」
『嫌いじゃないわよ〜ちょっとムカつくだけで♪』
「………」
絶対嫌ってるだろーが。