恋と上司の甘い相関関係
「…ど…して…離れていっちゃうの…?」


俯く結城が震える声で呟く。



「私は…あなたの傍にいられればそれでいいのに…」



表情を無くした人形のような彼女の瞳から、一粒の涙が零れ落ちた。



「……真理菜」



今にも粉々に砕け散ってしまうんじゃないかと思うほど弱々しい彼女を見たら、自然と名前で呼んでいた。



「お前には本当に悪いと思ってる。…でも俺達は愛し合って婚約したわけじゃない。

俺に気持ちがないのに結婚したって幸せになれるわけないだろ?」



そう、これも再三言っていたこと。

しかし俺の婚約解消の申し出を、未だに真理菜は拒み続けている。



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