恋と上司の甘い相関関係
「あの…拓海さ──っ!?」



その瞬間、手首をぐっと掴まれてあたしはお店の外に引っ張り出された。



「──えっ!?ちょ…っ、拓海さん!?」


「………」



無言であたしを引っ張る拓海さんは、あたし達の車があるところまで来て足を止めた。


掴んだ手をゆっくり離し、薄暗がりの中でも綺麗に輝く瞳であたしをまっすぐ見据える。



「…何で泣いてた?」



思いの外、宥めるような優しい声が降ってくる。



…どうして、あなたが苦しそうな顔をしてるの?


そんな表情をするから、あたしは声を失ったように何の言葉も出せなくなる。


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