恋と上司の甘い相関関係
「…黙ってて悪かった」



いつもの拓海さんとは思えないほど覇気のない声。


辺りはもうすっかり暗くなり、夏の夜風が一段と涼しく感じる。



「結城と婚約したって話は本当だ。言い訳するつもりもない」



──ズキン…


はっきり言われるとやっぱりすごく辛い。


でも泣いたらダメだ。


ちゃんと“好きでした”って、想いを伝えるまでは──…



「──だけど」


「………?」



拓海さんの声が、突然力強く変わったことに反応して少し顔を上げた。


さっきとは違う、あたしの心までも射ぬくような真剣な眼差しにまたドキッとする。


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