恋と上司の甘い相関関係
初めて知った、結城さんの心情。

いつも強気に見えた大人な彼女も、本当は片想いに悩む女の子と同じだったんだ。



「啓ちゃんにも、婚約話は順調に進んでるって嘘をついてた。
真実を知ったら、優しい啓ちゃんはきっと身を退くと思ったから…。
そんなことしても無駄だったのにね」



結城さんは力のない、虚ろげな瞳をあたしに向ける。



「あなたが啓ちゃんと会ってる時、私も拓海と二人で話したの。
その時にはっきり言われたわ…
好きな人がいるって」


「え──…!?」



好きな、人……?


勝手な期待と不安で、胸が一つドクンと鳴った。


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