恋と上司の甘い相関関係
「聞く前から気付いてたわ、拓海の気持ちには…」



結城さんはまたあたしから視線を逸らすと、真っ白なシーツをぎゅっと握った。



「わかってたはずなのに、覚悟してたはずなのに…いざ言われたら目の前が真っ暗になって──

…魔がさした私は、最低なことを考えてた」


「最低な、こと…?」



何も映していないような“無”の瞳にほんの少し恐怖を感じて、あたしの声は微かに震えていた。


少し間を置いて、結城さんはポツリと言う。



「…私が死んだら、きっと拓海は後悔する。きっと一生私を忘れられなくなる。

そうすることでしか、私は拓海を繋ぎ止めておくことは出来ないと思ったの──」


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