僕は君を抱きしめることができない
意外と優しいんだなと思いながらジーーッと見ていると唐突にこう言われた。






「それにしても、お前。男っていうより女みたいに軽いんだな」






ギクッ!






そういえばボクは男装しているんだっけ。






忘れてた。






忘れちゃダメなんだけど……






「…………。」






彼はおもむろにある教室の扉をあける。






「保健室」






教室の入り口にはそうかかれていた。






「……俺は保健委員じゃないから上手く手当てはできないけど、そこは我慢しろよ?」






「ふぇ……?」






しまった。驚きの余り、変な声がでてしまった……!






彼はそんなことを気にせずに湿布と包帯を持ってきた。






「右足首だせよ」






「え…!あ、大丈夫です!自分でできます!」






彼から湿布を受とり、足首に貼ろうとするが……






「は、貼れない……」






どんなに頑張って貼ろうとしてもグシャグシャになってしまう。






他の人の手当てならできるのに…






そんなことを思いながら一生懸命貼ろうとしていると、彼はニヤリと笑って言った。






「お前って、案外…不器用?」






ムッ!








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