僕は君を抱きしめることができない
「……です」






「は?」






「いいんです、兄さんここにいないみたいなんでっ……」






言えるわけがない。






兄さんににてる人にいえないよ。






どうやって説明すればいいの?






あなたにそっくりな人ですって?






もう何もかもわかんないよ……






混乱して、もう何もかも






わからない。






『―八神咲月さん。至急、理事長室まできてください。くりかえします――』






放送がはいる。






聞いたことのある声だった。






ぼーっとした頭で考える。






そうだ、あの女性の先生の声だ。






「ボク、呼ばれてるからいくね」






「おい……」






それだけ言い残すと逃げるようにして保健室から出た。






「……とりあえず、理事長室にいかないと」






隼に聞いたなかに確か理事長室もあったはず。






ボクはトボトボと理事長室へ向かった。





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