僕は君を抱きしめることができない
「――失礼します」






ボクは理事長室にはいる。






イスにだれかが座っているのが見える。






ただ、背中を向けているので顔はみえない。






その人はボクに言った。






「八神咲月くん……いや、咲月ちゃんといったらいいのかな?」






「……っ!?」






どうしてそのことを……!?






「君は女の子だよね?どうして女の子がここにいるのかな?」






「そ、それはっ……」






どうしよう、女だってこともうバレちゃってる。






これじゃあ、兄さんをたすけ……






「君のような子が女の子がこの学園に入学した。これは学園きっての大失態だ」






「あ……っ」






どうしよう、どうしよう、どうしよう!






「君のような子がここにいるだけで、虫酸がはしるよ。この責任をどうとるつもりかね?」






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