僕は君を抱きしめることができない
視線が一気にボクに集まる。






き、緊張する……っ!






「八神咲月です、よろしくお願いします!」






ペコリと頭を下げる。






顔はだいぶ火照っていると思うけど……






でも噛まずに言えた!






「それじゃあ、一番後ろの席に行ってください」






やったぁ!






これであんまり人と関わらなくてすむ……






そう思ってホッとしていると周りの人たちはヒソヒソと何かを言っている。






断片的に聞こえるのは、可哀想だな。とか哀れだ。とかそういう声だ。






一番後ろなのにどうしてそんなことを言われるんだろう……?






その理由は後ろの席についてわかった。






その席のとなり。






そこにいた人はすごく可愛い顔をしているのに物凄い目でボクを睨んでいた。






うう……っ!






視線が痛い……






「あ、あの、これからよろしくお願いします!」






一応、そう言って微笑みかけるがまったくの無視。






どうしてだろう。こんなに可愛いのに物凄く怖いよっ……!






とりあえず、席に座る。






「それでは、授業を再開します」






ボクが座ると同時に先生は言った。





< 40 / 41 >

この作品をシェア

pagetop