女豹と秋桜
予定日は僕の誕生日の一日前。

もうすぐ、

僕の血を分けた子が、
この世に誕生すると思うと、

うれしい。

女の子だそうで、それを聞いたとき、少し淋しくて嬉しかった。

女の子はいずれ父親が嫌いになるとよく言う。

実際、僕の姉や妻もあまり父親は好きではないようだ。

野球をやっていた僕には野球を教えてやれる、男の子がほしかったが。

でもきっと女の子もかわいいのだろう。

出産の際、入院して、退院したあとも

1ヶ月は実家に帰ると妻は言っていて、


このノートはその間、この家で一人暮らしになる僕のために、

妻は用意してくれていた。





「ありがとう。英里」
ぼくの一言に妻はとても幸せそうに微笑んだ。








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