女豹と秋桜



タクシーの中にはにぎやかなFMが流れていた。


「最近、彼氏とは?」

ゆっくりと櫻井に尋ねた。

ふっと泣きそうな笑ったような表情で、

「昨日、別れました。」

「…!ごめん。聞いてしまって」


とっさにマズイと思った。

櫻井が付き合っていたのは、一回りも年上の既婚者だった。


「気にしないでくださいね!私、元気ですから。」


「…飲みなおすか??」

なんで誘ったのか、ふと今夜の櫻井がいつもと違って見えたのだ。
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