女豹と秋桜

「南さん?」

「あ、ごめん。ありがとう。」

コーヒーカップを受け取って、櫻井は僕の横に座った。












落ち着こう。

僕は、ゆっくりとコーヒーを飲む。

インスタントのわりにおいしいのは、櫻井がいつも、みんなにお茶を入れてくれるから。

櫻井にお茶やコーヒーの入れ方をおしえていたのは、美紀子だった。



ふと、美紀子を思い出し、僕は胸が締め付けられるようだった。


美紀子と、上手に別れられなかった。

そんな罪悪感が今も悔しい。


「南さん、今日は私のわがままに付き合って下さってありがとうございます。」

「いいよ。」
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