女豹と秋桜



妻は病院に電話をし、僕は昨日の夕方に妻が準備していたボストンバックを持ち、

こんなに早くに必要になるとはおもっていなかったな
と心で呟いた。


車のエンジンをかけて、深夜の住宅街を走り、

病院についた。

玄関で中年女性の看護師が待っていた。

「南さん!とうとうやね!頑張ろうね」

「ありがとうございます」

「さぁ、先生待ってますよ。あ、ご主人はここで少し待っていてくださいね。先に診察しますから。」



待合室で荷物を抱え10分ほどで看護師に支えられて妻は出てきた。

「ご主人、荷物をお願いしますね。お部屋は二階ですから。」

小さな個人院にエレベーターなどなく、妻を看護師と支え片手に荷物を持ち、部屋に入った。

人のよさげな髪型が変な中年男性の医師が後に続いて部屋に入った。

「明日には生まれるでしょう。今からどんどん痛くなりますよ。頑張りましょうね」

「はい。よろしくお願いします。」

少し汗を浮かべた妻が言った。

僕も、

「よろしくお願いします。」

と頭を下げた。

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