Say love 【短編】
―――ううん、やっぱりせっかくうまくできたんだから、手作りのほうを渡そう。
裕也だって、食べてくれるかもしれないじゃない。
教室を出て、裕也の教室へ向かう。
教室の前に着くと、廊下にいる裕也の背中が見えた。
‥女の子と話してる?
「裕也!はい、チョコ」
‥‥もしかして、チョコレートもらってる?
やだっ!
受け取らないで、裕也。
私以外の女の子からなんてもらわないで。
「はぁ?」
「裕也のために作ったんだから!うまくできたんだよぉ」
だめっ!手作りは私があげるんだから!
「いらねぇ。‥‥てゆうか、俺、手作りとか嫌いだし」
え‥‥
手作りとか、嫌いなんだ‥‥
そうだよね。
裕也はそういうの嫌いだよね‥‥
「ひな?」
「ゆうや‥」
いつのまにか裕也がこっちを向いていて、私は慌てて持っていたチョコレートを隠した。