Say love 【短編】
裕也は戸惑う私の手首をいきなり掴むと、手に持ったままだったトリュフを私の指ごとくわえる。
トリュフが食べられたと同時にあたたかい舌でゆっくりと指を舐めとっていく。
その間も裕也はじっと私を見つめていて。
舌からも視線からも裕也に犯されているように、私はじわじわと体温を上げる。
指をていねいにじっくりと味わい尽くすように舐め尽くすと、ゆっくりと口から指を離す。
熱を持った彼の視線は私から逸れることなく、私の唇を彼の長い指がツーッとゆっくりとなぞる。
恥ずかしいのに視線を逸らすことができない。
私の唇をきれいな指でなぞったまま裕也は自分の唇をペロリと舐める。
たったそれだけの動作がすごく色っぽく官能的で、唇は離れているのにキスされているような錯覚に陥る。
真っ赤になって何も言えない私に、「帰るぞ」とだけ言い私のかばんを取って歩き出す。