Say love 【短編】



ぼおっとしたまま動けない。



裕也が、人前であんなふうにしたのなんて初めてで、驚きから立ち直れないでいた。



「ひな」



動けない私の手を引いて歩いてくれる。



人前で手を繋ぐのも、裕也は嫌いなはずなのに。



繋がれた手が嬉しいのに、無言の背中は明らかに怒りを表していて、何も言うことができない。



どうしてそんなに怒ってるの?



手を引かれたままいつのまにか裕也の家に着いた。



何度か来たことはあるけど、私が長く自分の部屋にいるのが嫌みたいで、ちょっとの間しかいたことはない。


それなのに、今日はどんどん私の手を引っ張って二階にある裕也の部屋まで連れて行く。



「裕也‥?」



無言のまま部屋を開けると、私をドサッとベッドに放り投げた。



「きゃっ」



ベッドはやわらかくて痛みはないが、こんなに怒ってる裕也は初めてで、どうしていいのかわからない。



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