失恋の先にあったもの
唖然…



それが今の私にぴったりな言葉だった。



だって…



その公園にいたのはたった1人の男の人。



そんな1人のためにあんな何十人も…。




「誰だ…。」




その人は、横たわっていた体を起こすと、近くにあった遊具に背を預け、言った。



「誰だと言われても…」


瑠愛ちゃんでーす☆

なんておどけてられる状態でもないだろう。


考えながら男の人に近寄る。



「って、どんだけ血出てるんですか!?」


彼の腕と足から大量の血が出ている。



「知らね。刺された」


シレッとした態度で答える彼にちょっとイライラしながら、ケータイを取り出す。


119…


「すみません、救急車お願いします。えっと、宮岡公園です。はい、お願いします。できるだけ早くお願いします」



一気に話すと男の人は眉間に皺を寄せた。


「余計な事すんな」



そう言いながらも、立ち上がろうにも立ち上がれない筈。

血の量がスゴい。




…仕方ないか。



ビリッ



「は?」


「止血するから、大人しくしててくださいね」



私は自分の制服を破いて止血をする。


今日はちょうど先生から逃げ回る為にいろいろ逃げ回ったから制服もボロボロだ。


制服の換えは去年の先輩達に結構貰っているから心配はない。


この場合は仕方ない。



ギュッ



男の人の腕と足を縛ると、とりあえず救急車がすぐに見つけてくれそうな場所まで連れて行く。


なんか「おい」だの「離せ」だのうるさいけどそんなこと相手にしている暇はない。


ピーポーピーポー


「あ、きましたよ。」



バタン


「止血とかしてあるんですけど血の量が凄いのでお願いします。」


「はい!ありがとうございます!」



それからあれよあれよと言う間に男の人は連れて行かれた。






















彼はずっと私の顔を見ていた気がした…











< 11 / 14 >

この作品をシェア

pagetop