失恋の先にあったもの
「そういえばそんなこともあったかも」



あの時は結構びっくりしたのを覚えてる。


止血のやり方やちょっとした治療法を知っていてよかったと、あの時心底思った。




「瑠愛ちゃん先輩が助けた人さ、俺の兄貴なんだ」



「えっ!?」



いきなり驚きの言葉を口にする翔くんに、ここがコンビニだということを忘れて大声をあげてしまった。


まわりのお客さんからの視線が集まる。



「と、とりあえず出よう」



翔くんを連れてコンビニから出る。






結局飲み物買えなかったな…。



「翔くんのお兄さんって事は、真央ちゃんのお兄さんでしょ?真央ちゃんに双子なんていなかったし…。私会ったことない」


真央ちゃんとは翔くんのお姉ちゃんで私の友達の
篠崎 真央(シノサキ マオ)



よく家に遊びに行ったりしてるのに全然知らない。



「兄貴は何回か瑠愛ちゃん先輩見たって言ってたけどな」


笑いながら言う翔くんにますますわからなくなる。



翔くんのお兄さんが私を見たことがあるなら、私も見たことがある筈。

もしなくても、お兄さんがいることくらい、真央ちゃんは言ってくれてもよかったのに…。



「姉貴は兄貴と仲悪いからなー。しかも兄貴、女遊び激しいから、瑠愛ちゃん先輩みたいな可愛い子、会わせたくなかったんだろうな」


…なんか翔くんが私のこと可愛いとか言ってることはおいといて、




「お兄さんは無事だったの?」






実はこれが一番心配だった。










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