失恋の先にあったもの
声がした方を見ると可愛らしい女の子がいた。


小さい顔にあるのは大きな瞳に小さな鼻、薄い唇。そして黒いショートボブの髪型に華奢な体型。


まるで人間の最高傑作と言えるような、完璧な容姿。


その容姿に加え、不安そうな瞳をキョロキョロとさせ、さっき秀ちゃんを呼んだ声も震えていた。


しかも私はこの子を知っている。


神山 優美(カミヤマ ユウミ)



学年で一番美人でその名前の通り、優しくて美しい。


私もこの子と同じ小学校や中学校の友達が何人かいる。


その中にも、誰も彼女を悪く言う人はいなかった。



だからかもしれない。




妙な胸騒ぎがした。








「優美。」


秀ちゃんは笑顔で立ち上がり、彼女に駆け寄る。



そして彼女を連れて私の所まで来る。











「瑠愛、こいつ俺の彼女の優美。」



「そっか。」




それが精一杯だった。
泣きそうになった。


だって


















秀ちゃんのこんなに幸せそうな笑顔、初めて見たから。






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