愛さえ魔術と呼ぶのなら


「ここの人ですか!?すみませんがここってどこでしょうか!私迷子になっちゃって」


振り返り必死にすがる。


しかしそこにいたのは、キレイな半透明の赤い羽。ヒラヒラと舞う姿は美しく、思わず見とれてしまう容姿だった。


「ちょうちょ?」


ちょうちょ?ちょうちょ?てふてふ?


「ハ、ハジメマシテ」


蝶がしゃべったなんてそんなばかな。



でも今ここにいる生物は私と、この手のひらサイズの蝶だけ。

唖然として見つめていると蝶は

「こちらが招いたのだ、迷子とは滑稽だな」


あぁ、この蝶々さんがここに連れてきてくれたのか



、、、って!


「ぇええーーー!!」


「なんだ気にくわないか?」


「いいえ!とてもマイナスイオンを肌で感じることのできる素敵な場所です!」
「そうか、ではお前の体を借りるぞ」


「え?あ、どうぞ」

体を借りる?なにかの仕事をさせられるのだろうか。
そもそも私は道を聞いただけた。話がそれていく。

すると突然胸に焼けるような痛みが走った。

視界がぼやける。

手が震える。

立っていられない。





これは、夢?










人は人を愛す。

一生をかけて誰かを愛し続ける。

その一生の儚さは誰も知らない。

知る必要もない。


命んてすぐに消えて無くなる。

その事をどこかで皆わかっているから。
< 3 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop