愛さえ魔術と呼ぶのなら
「ここの人ですか!?すみませんがここってどこでしょうか!私迷子になっちゃって」
振り返り必死にすがる。
しかしそこにいたのは、キレイな半透明の赤い羽。ヒラヒラと舞う姿は美しく、思わず見とれてしまう容姿だった。
「ちょうちょ?」
ちょうちょ?ちょうちょ?てふてふ?
「ハ、ハジメマシテ」
蝶がしゃべったなんてそんなばかな。
でも今ここにいる生物は私と、この手のひらサイズの蝶だけ。
唖然として見つめていると蝶は
「こちらが招いたのだ、迷子とは滑稽だな」
あぁ、この蝶々さんがここに連れてきてくれたのか
、、、って!
「ぇええーーー!!」
「なんだ気にくわないか?」
「いいえ!とてもマイナスイオンを肌で感じることのできる素敵な場所です!」
「そうか、ではお前の体を借りるぞ」
「え?あ、どうぞ」
体を借りる?なにかの仕事をさせられるのだろうか。
そもそも私は道を聞いただけた。話がそれていく。
すると突然胸に焼けるような痛みが走った。
視界がぼやける。
手が震える。
立っていられない。
これは、夢?
人は人を愛す。
一生をかけて誰かを愛し続ける。
その一生の儚さは誰も知らない。
知る必要もない。
命んてすぐに消えて無くなる。
その事をどこかで皆わかっているから。