愛さえ魔術と呼ぶのなら



気がつくといつもどうりの天井、なんていくわけもなくさっきの薄暗い森の中に横たわっていた。



「、、、人間だ」


「人間だ、食べれるのかな?」


1メートルくらい先の草むらに蛇が二匹。

今度は蛇?

「食べてもいいけど美味しくないよ」

もうなんか、慣れた。


驚く蛇たちをよそに私は起き上がる。

とにかくじっとしてても何も進まない。動こう。

そう思った矢先白いキレイな蛇が。

「待って!僕達、食べたいんじゃなくてお願いがあるんだ!」

お願いと言われると断りにくい。


「じゃあ、私のお願いも聞いてくれる?」

「いいよぉ」


少し意地悪な条件にもかかわらず蛇はすぐに返事をした。

よほど大事な用事なのだろう。


「それで?そのお願いって?」

蛇は上を見る。

「あれを取って欲しいんだ」

あれ?

上を見ると木の上に何か光るものを見つけた。


木の上にといってもずいぶん高い。

「あんなの取れるわけないでしょー!」

「だから君に頼んでるんだよぉ」

「そうだよぉ」

でも

「私じゃあ無理だよ!」


とにかく他探して!とだけ言ってずんずん進む私に蛇はシュルシュルと体に巻き付いて泣き出す。


「大事なものなんだよー!」

「お願いだからー!」

「そんなに逃げるなら、、、」




ボンッ!!






げほっげほっごほっ


今度は何!?


「うわぁ!」

なにか重いものが体の上にのし掛かる。


「ホントに食べちゃうから!」

白い髪に赤い目、キレイな顔立ちの思わず見とれてしまいそうになる。

人間だ。

人間の男2人に押し倒されていると気づくのに時間がかかった。


「い、いたっいたたたた!いたーい!」

蛇が、正確には男が2匹首筋に噛みついてきた。

「わかった!わかった!取るから!いたーい!!」


「ホントに?」

「ホントに?」


頑張るだけ頑張ってみるしかない。

食べられたくないし。

「そもそも何であんなとこに乗っちゃったの?」

「、、、それは」


「いいから取ってー!僕達じゃ取れないんだ」

どう見ても私より身長のあるあなたたちの方が取りやすいと思うんですが。

と言ってやりたかったが

お願いお願いおねがいー!

だだをこねるもんだから仕方なく取ってやることにした。

案の定私は木登りが得意だ。

登ってみるとキラキラ光っていた正体は、どうやら石のようだった。

「取れたよー!」

下にいる蛇に叫ぶ。

スルスルと地上に到着。

「「ありがとー!」」

「君、名前は何て言うの」



名前?




「名前は」










さら







「さら、、、」


すると突然蛇の目の色が変わる。

延びてきた手に頭を掴まれ、勢いよく木に押し付けられる。


ドンッ!


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