愛さえ魔術と呼ぶのなら
「な、何しやがる!!」
「皐月、久しぶりだね、ダメじゃないか女の子苛めてちゃ」
「お前、、っ花挫霧か!」
どんっと突き放し距離を置く。
「なぜその女の中にいる?」
「おかしなこと聞くなぁ皐月は、だってこの子しかいないじゃない、、、」
「次の神舞神、、、でしょ」
「!、、蛇、なぜ知っているんだい?」
花挫霧が尋ねる。
「なんでだと思う?教えないけど」
「とにかく、そこから出ろ俺はその女が気に食わん、殺す」
「またまたぁ、この子を殺したいんじゃなくてこれが欲しいんでしょ」
胸元を開ける。
そこには血の色をした蝶が刻み込まれていた。
「だとしたらなんだ、お前に関係あるまい」
男は沙羅の体に襲いかかる。
しかし、いとも簡単に避けられてしまった。
素早く後ろに回り、首を掴む。
「こんな話を知っているかい?あるところに毒蜘蛛の妖怪がいたんだ、その妖怪は不用意にも人間に恋をしてしまったんだ」
「やめろ、そんな話聞きたくな、、、」
「でもね、その人間はただの人間じゃなかった妖怪と人間の間に生まれた不幸な妖怪殺しだったんだ」
「やめろと言っている、、、」
「ある日人間の女の子はまた、妖怪を殺してしまったそれを見てしまった毒蜘蛛は大変驚いた、そして女の子の手には毒蜘蛛の唯一の兄弟の頭が握られていたんだよ」
「、、、やめろ」
「そしてそのまま愛していた女を殺してしまったんだ、、、なんて、よくある話だったかな、でもなんで女の子は毒蜘蛛男を殺せなかったのかが不思議じゃないかい?」
「やめろ!!」
かすかに皐月の肩が震えているのがわかる。
「どうしたの、皐月よくある昔話じゃないか、ねぇそれより不思議だろう?その気になれば妖怪殺しなんて簡単にできる力を持っていた、、、」
こうやって
ギリギリっと首に爪が食い込んでいく。
「、、、う、、、」
「皐月、死んでしまうのかい?ねぇその前に教えて、皐月君はなぜ殺したの?」
「こんの!」
ブンっと後ろに反り返り持っている刀が沙羅の体に降り下ろされた。
しかし避けるどころか動きもしなかった沙羅の体は深くまで鋭い刀が食い込んでいた。
「!!、、、なぜ避けない!」
「安心したからよ、、、」ポタポタと地面に血が滴る
「もう誰も殺したくなかった、でも殺さなければ生きていけない、そんな自分は嫌だった、、、愛する男に殺されるのなら本望だと思ったのよ」
ガラリと雰囲気が変わる。どうやら花挫霧ではないようだ。
「生まれたときから不幸を約束されていたのに、一瞬でも幸せをくれたそんな男に殺されるのなら、、、もう殺さなくてもいいのなら、、、安心したのよ!」
そのまま意識を手放してしまった。