ヨカナーンの首
すると彼は。


「猿目か。

無理だよ。

俺はあいつとは無理だ」


ああ、大丈夫だろうか。

私の名を聞いた彼の耳は、私の名をつむいだ彼の唇は無事だろうか。

高鳴る心臓を押しつぶして、必死に気配を殺す。


「へえ。
ちなみに、理由は?」


彼を守らなくては。

嫌われていても構わない、そんなことより、彼を守らなくては。



「理由ははっきりしているよ。

俺は、目を見て話ができない奴は嫌いだ。

この世の何よりも。

人をむしばむ菌よりも」







< 11 / 16 >

この作品をシェア

pagetop