ヨカナーンの首
学校は3階建てということになっている。

だがこの校舎には4階があるのだ。


3階の西側には、10段ほどの昇り階段がある。

その先が、「4階」。

廊下も教室もない、明かりすらない、物置と化した6畳ほどのスペースだが、そこは確かに4階だった。


光に満ちた3階から伸びる、すべすべとした深緑色の階段は、2段目を待たずに闇に飲み込まれている。


私は爪先立って、1段飛ばしで階段をのぼった。

4階の、毛皮のように積もった埃をそっと踏みしめる。


そこは、壊れた棚やさびた掃除ロッカー、チェーンソーのようなよく分からない工具が、脈絡もなく置かれる空間。


捨てられてはいない。
ただ忘れられているのだ。

何代か前の用務員が、置いていったのだろう。



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