GOONY
一章

旅立ち

ここにはビルもタワーもない。

娯楽施設なんて、
40年前にできたボーリング場ぐらい、
3階建て以上のビルといえば箱物行政でできた役所関連ばかり、
ただ海はとても綺麗だ。

限界集落と呼ばれるのも時間の問題だが、
若者は町へ出るしか仕事がない。
一人、また一人と数少ない同世代はいなくなった。
気合の入った先輩方が、
どうにか外部の人間を入れようと流行りの婚活をしたが、
現状に嫌気の刺した都会の女性は逃げ出してしまった。

同級生は2人だけ。
一人は半年前に村を出た。
ほかに近い年の子は3歳下に2人だけ。

そんな村を僕は出ようとしている。

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