GOONY
「やっぱり珍しいか?町の景色は」
港を出てすぐに駅のターミナルに差し掛かったとき航一さんは言った。

「えぇ。こんなに高いビルは修学旅行かテレビの中だけですから」
村はそんなに裕福ではない。
もちろん我が家も。
簡単に船で町へ渡る事は出来ず、定期便にのるか、売り子に行く漁師に乗せてもらう事しかできない。

テレビの中でみる町はなんだかファンタジーのようなものだ。
ドラマのワンシーンやワイドショーなんて夢の国の話だろう。

海岸線沿いのこの町は、国外との貿易拠点として、巨大に発展した都市だ。
それこそ夢の国のように。

倉庫街が立ち並ぶ港を20分も走れば、見上げないと先の見えないビルが立ち並ぶ巨大なビルが立ち並んでいる。

「すぐなれるさ。」

そう航一さんはそうつぶやいた。
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