GOONY
荷造りの最終確認作業中に
「ねぇ!おばさん!洋いる?」と外から元気な声がする。

二階まで響くでかい声を出す奴は一人しかいない。
窓から下を覗くと居残り組がいた。

「二階にいるわよー!なぎさちゃん」

あぁ母さん。なんて面倒くさいやつを招き入れるんだ。
頭を抱えながら、
持っていくか悩んでいたエロ本をベットの下に隠し、
素早く漫画本に持ち替えた。

「ばん!」と乱暴に部屋のドアが開く。
髪は潮で茶色く、黒く日焼けして
Tシャツ短パンで人の部屋にノックもせずに入ってくる。
毎度のパターンだ。

「ねぇもうすぐ出発でしょ?」
「おまえはノックってものをしらんのか?」
「コンコン。何時にでるの?」
「6時の最終で出るよ」
「まだ時間あるじゃん。ちょっと出ない?」
「でない。」
「しおらしく頼んでる乙女に即決かい!」
「俺は今荷造りの最中なの!」
「漫画読んでんジャン」
「…。」

エロ本入れるかどうか悩んでたなんて言える訳がない。
「わかったよ」と右手の下にあるエロ本を更に奥に押しながら答えた。

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