GOONY
「よう兄ちゃん。怪物っていると思うか。」
怪物だって?なにを言い出すんだとまゆを潜めたが、
男はこちらの様子に気にしない。
「え。怪物ですか…ちょっとわんな…」
曖昧に濁して去ろうとしたのに男はかぶせ気味に話を続けた。
「この世界に怪物と呼ばれるやつらがいる。そいつらは普段とてもおとなしい。
だが、きっかけをあたえると突然変異するんだ。そしてそれは世界を変えてしまう力がある。」
男は饒舌に語り始めた。
「それは、時代が変わる度に名前を変え、姿を変え存在している。世界中どこにでも。狂気、悪魔、魔女、妖怪、時には神の使者などと呼ばれていたこともある。だが最近あ長い長い眠りについていたんだ。」
宗教の勧誘かなにかか?とても居心地の悪さがあった
。
「あの…もう戻りますんで…」
軽く会釈をして立ち上がると、男は言った。
「兄ちゃんのみた夢は…」
びくっとした。
夢を見た時と同じぐらい鼓動が高り足が止まる。
遠くで雷が聞こえる。
男は、遠くの海をまっすぐ見たまま話を続けた。
「そいつらが現れる啓示だ。そして俺はお前を迎えに来た。」
雨粒がだんだん大きくなっていく。