こちらミクモ探偵事務所3
『――間に合わなかった。山田さん家の松の倉庫にいた』
先ほど、狸翠が病院の待合室で言っていた事だ。
苦々しく事情を告げる狸翠の顔が、今でも忘れられない。
『そうですか……』
『簡単にだけど、色々と見てみた。
恐らく、昨日の時点で亡くなっていたと思う。
ナイフで心臓を一突きだ。
背中まで貫通してない所を見ると、前から刺されたらしい』
『……』
『因みに倉庫の持ち主の山田さんはいなかった。
――すまん、間に合わなくて』