こちらミクモ探偵事務所3
こんなものいつ書いたのだろう。
少なくとも、紘哉が来ている間に書いたと言うことは分かっている。
『行ってきます。すぐ帰ってくるから』
そう言って、芳樹は家を出ていった。
あの時の光景が頭に蘇る。
「……バカ。次会ったら一発ぶん殴ってやる」
手紙の上にポツポツと染みができる。
泣いていると気付くのに、そう時間はかからなかった。
紘哉は顔をあげ、もう一度芳樹を見る。
相変わらず安らかな顔でいる。
「……さようなら」
彼はそう呟くと、霊安室を出ていった。