こちらミクモ探偵事務所3
嵐が過ぎ去ったようにしんと静まる部屋。
台風で飛ばされている新聞紙の如く、事件は急に舞い込んできた。
「……だから言ったろ?事件は起きるって」
「やっぱり探偵の勘ってやつか?」
「そうそう。意外と当たるんだよね」
芳樹はため息をつくと、玄関の鍵を閉めた。
「誘拐か……」
ボソッと呟いてみる。
知り合いでも何でもないが、夏紀の安否が気になる。
受験勉強どころではない。
紘哉はデスクに近寄ると、開きっぱなしだった参考書とノートを閉じた。